ロシアが破壊している戦後秩序とは

ロシアのウクライナ侵攻を受け、戦後秩序の崩壊が指摘されている。戦後秩序とは具体的に何を指すのか。

まず戦後とはどの戦かといえば、第二次世界大戦である。同大戦の後に維持されてきた国際秩序、これが今崩壊しかけているというわけだ。

戦後秩序といっても、そのようなタイトルの国際条約があるわけではない。様々な仕組みの積み重ねを総合して一般に戦後秩序と言っている。

まず最初に考えつくのが国際連合である。これに加盟する国は国際連合憲章を遵守し、国際の平和及び安全を維持することを目的としている。具体的には、侵略行為を禁じたり、解決するための行動規定が記されている。

次に、核兵器不拡散条約(NPT)も戦後秩序と考えられる。核兵器保有が許された国とそうでない国を規定し、これ以上核兵器を持つ国を増やさないことを目的としている。核軍縮原子力の平和利用を促進することも推進している。

このような国際条約は、多国間で同じルールを守っていくことで抜け駆けを防ぎ、均衡を保とうとする取り組みである。その中で、国の主権平等、内政不干渉といった原則や、自由貿易、人権、気候変動といった事柄でも多国間でルールを定めている。

第二次世界大戦で破れた日本はサンフランシスコ講和条約を各国と結んだが、これも戦後秩序のひとつだ。日本が国連のルールに従うことや領土主権、署名各国との賠償や国交に関して合意したものである。

最近の例でいえば、環太平洋パートナーシップ協定(TPP・CPTTP)も戦後秩序のひとつと言える。気候変動分野で京都議定書やパリ協定が該当する。更に参加国の少ないもので、イラン核合意や六カ国協議も含まれる。