ガリレオ(2007年版)物言い続き

ガリレオ(2007年版)の物言い続き。やはり最終話(爆ぜる)だけはドラマの主旨から逸脱してしまっている。

一見すると理解を超えた超常現象によって殺人事件が起きているが、残された痕跡を丁寧に追って科学的検証を行うことで日常現象の応用であると立証する部分に醍醐味がある。

だがその過程は非常に地道で地味なものだ。物理学や化学の説明が必要であり、それを1つひとつ視聴者に理解してもらうのは無理だ。

例えば第7話で登場したER流体。電圧を加えることで粘性を変えることができる液体だ。そのようなことをいくら言っても一般視聴者には分からないし、理系にもどういう原理なのか解説が必要だ。

これを湯川の研究室で実験をしている。水槽に満たしたER流体に電圧を加え、鉄球を落とすと表面で止まって沈まない。

この映像を見ることで全ての人がER流体のことを「解ったつもり」になれるのだ。これこそがドラマの良いところである。

小難しくて地味な物理学的現象を解ったつもりになれることこそガリレオの面白さであって、ドラマ制作者や演出家の腕の見せ所でもあるはずだ。

最終話に戻る。登場したSUPER NaKやレッドマーキュリーという合金は架空の物質だ。これまでの全8話は超常現象が日常現象になる面白さだったのに、最終話だけはその基本を崩してしまった。

極めつけは木島が残していったレッドマーキュリーによる小型核爆弾の解除だ。湯川が他分野のミニゲームを解いていく姿を描き、物理学に限らないだたの天才として演出してしまった。物理学者の看板を降ろしてしまったのだ。

最終話の失態は、ドラマのクライマックスを演出だけでどうにかしようとした制作陣の横着であることに集約される。