没食子酸 Gallic acid

冬が近づいて気温が下がってくると、木々の葉が紅葉する。これは葉が緑たるクロロフィルが分解され、アントシアニンが優勢になることで起きている。銀杏など黄色に黄葉するものはカロテノイドが優勢になることで起きている。

一方で茶色くなって落ちるものもある。いわゆる枯れ葉だが、これはタンニンが関わっている。タンニンは多数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ複雑な芳香族化合物で総称だ。

この中で広くタンニンの基本骨格をなす物質が没食子酸である。

 \rm{C_{6}H_{2}(\mathrm {OH})_{3}CO_{2}H}

没食子酸は通称で、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸が正体だ。IUPAC名としては 3,4,5-trihydroxybenzoic acid と表される。ベンゼン環にカルボキシ基、その3,4,5番目にヒドロキシ基が配位していることを意味する。

酸解離定数はカルボキシ基部分で4.5、ヒドロキシ基部分で10.0と弱い酸である。したがって共役塩基は強く、還元力の高さから還元剤として使われる。