抑止力と反撃能力

敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」の議論が加速している。

現在の日本は憲法の主旨などから専守防衛を堅持している。しかし敵国からの攻撃に対して防衛のみで対処するのは極めて困難である。

日本は四方を海に囲まれているので、敵国からの攻撃の第一波はミサイル攻撃が想定される。敵国からすれば日本に何らかの被害を出せば目的を達成できる一方、日本は被害をゼロに抑える以外に勝利条件を達成できない。あまりに不利だ。

現状の日本は何をしても反撃しないし、領土領海領空を越えて自衛権を行使しないことを明言してしまっている。つまり敵国から見れば、対日本では攻撃に極振りで良いのだ。

そこで反撃能力である。日本に手を出せば、強力ではないものの反撃される可能性があるとなれば、一定の戦力を防衛に回さなくてはならない。日本から見れば敵戦力の削減に等しく、日本にとっては広義の防衛力と言える。

ここに抑止力と反撃能力の違いがある。抑止力は攻撃を躊躇させることだが、反撃能力は敵戦力の削減なのである。