自衛権と集団安全保障
自衛権とは
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
国連憲章 第51条
また一般に自衛権の行使にあたっては以下の要件が考えられている。
- 急迫不正の侵害があること(急迫性、違法性)
- 他にこれを排除して、国を防衛する手段がないこと(必要性)
- 必要な限度にとどめること(相当性、均衡性)
個別的自衛権とは
他国からの武力攻撃に対し、実力をもってこれを阻止・排除する権利のこと。
集団的自衛権とは
自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利のこと。自衛権を行使している他国を援助し、共同で武力攻撃に対処すること。
集団安全保障とは
地域的、あるいは全世界的に国家が組織し、武力行使した国に対して他の国が集合的に強制措置を行うことで国際的な安全を確保する体制のこと。最たる例が国連である。武力による威嚇や行使が禁止されており、もしそのような行為が安全保障理事会で認定されれば、必要に応じて措置が講じられる。
措置には非軍事的措置と軍事的措置がある。非軍事的措置とは経済制裁などのこと。
北大西洋条約機構(NATO)は?
加盟国中の一国に対する武力攻撃は全加盟国に対する攻撃とみなし、集団的自衛権を行使することを規定している。NATO加盟国に手を出したら大きな反撃を食らうと推測されることから、NATOという枠組みの存在が抑止力となっている。
体制は集団安全保障であり、具体的な実行行為は集団的自衛権と考えられる。