リンの燃焼反応

ロシア軍がウクライナのアゾフスタリ製鉄所で白リン弾または焼夷弾を使用したのではないかと報道されている。リンの燃焼とはどのような反応か。

リンが燃焼すると、十酸化四リンが生成する。

\rm{4P + 5O_{2} → P_{4}O_{10}}

各物質の標準モル生成エンタルピー\rm{Δ_{f}H^{°}(kJ・mol^{-1})}は、

\rm{P(cs) = 0kJ・mol^{-1}}
\rm{O_{2}(gs) = 0kJ・mol^{-1}}
\rm{P_{4}O_{10}(c) = -2984kJ・mol^{-1}}

したがって反応に伴うエンタルピー変化\rm{Δ_{r}H}は、

\rm{Δ_{r}H = Δ_{f}H^{°}(P_{4}O_{10}) - (4・Δ_{f}H^{°}(P) + 5・Δ_{f}H^{°}(O_{2}))}
\rm{Δ_{r}H = -2984kJ}

定圧条件の時、エンタルピー変化は熱の出入りと等しく、

\rm{ΔH = q}

という関係がある。\rm{ΔH}の符号は負で、反応によって系のエンタルピーは減少している。つまり熱\rm{q}が系から失われて周囲に放出される\rm{2984kJ}の発熱反応であることがわかる。