Bank of Innovation, Inc. (4393.T) 決算振り返り

いま最も注目を集めているスマートフォン・PCブラウザ向けゲーム「メメントモリ」が絶好調だ。開発運営元の株式会社バンク・オブ・イノベーション(以下BOI社)は連日のストップ高となっている。

同社は現在、メメントモリ以外に3つのアプリを配信している。2015年リリースの幻獣契約クリプトラクト、2017年リリースのミトラスフィア、2021年リリースの恋庭だ。

主に幻獣契約クリプトラクトが同社の売上を支えてきており、配信から7年経つ今も大黒柱となっている。売上でミトラスフィアが並んだ時期もあったが、2021年9月決算時点においてはクリプトラクト57%、ミトラスフィア35%、恋庭8%の比率である。

さて、ここでBOI社の決算資料を覗いてみる。2021年分までは通期決算、2022年分は第三四半期(6月)までの数値である。なおメメントモリは同年10月配信のため、上記のFY2022には含まれていない。

グラフからひと目で分かるように、売上高も当期利益もFY2018を境に右肩下がりである。幻獣契約クリプトラクトもリリースから時間が経って安定期に入っていたこと、ミトラスフィアが思ったよりも伸びずに失速したことなどが理由として挙げられる。

次のグラフは1株あたりの利益、キャッシュフロー、売上を示したものだ。売上の下降と共に全ての要素も下降している。遡れた範囲でFY2014まで確認できたが、緩やかな右肩上がりでFY2018を迎えていた。

投資をするなら気にする指標はCFPS/SPSレシオだ。将来有望な優良企業と言うには最低でも15%は欲しいところだが、2018FYの14.0%が最高値だ。ナイスバディとは言えず、貧血気味の貧相ガールといったところ。

幻獣契約クリプトラクトとミトラスフィアという安定衰退期の老舗アプリを、恋庭の売上では支えきれないように思う。そこに現れたメメントモリという筋肉マッチョが救世主となる見込みだ。

セルランから逆算される売上が20億円とも30億円とも言われている。リリースから僅か1週間である。FY2022の決算には表れないが、FY2023の1Qでは業績急回復が確実だ。あとはどれだけの大きさになるかだ。