貸金アプリPayPay

今年後半の通信キャリア大手3社の制度変更騒動を総括する。まず簡単におさらい。

auはauPAYカード(クレジット、プリペイド)のポイント還元を絞った。代わりにauじぶん銀行との連携によるポイント還元を強化した。

docomodカードのポイント還元を絞った。自社サービスであるd払いへの利用も絞りの対象だ。代わりにdポイントカードのポイント還元を強化した。

SBはPayPayカードの自社利用で付与されるポイント還元を絞った。特にPayPay利用においては年初よりPayPayあと払いへの移行を進めている。

どのキャリアを見ても、自社クレジットカードの排斥が進んでいることがわかる。考えられることは経費削減だろう。内訳は不明だが、クレジットカードの利用は関係するセクションにそれぞれ手数料が発生しているはずだ。自社発行カードでも国際ブランド等の決済接続会社への手数料が発生する。

auとSBは金融子会社からクレジットカードを発行しているが、docomodカードに関してはSMCCとの提携カードである。SMCCへの手数料も発生しているだろう。

この流れに関して、最も上手く立ち回っているのはSBだと考えている。それどころか最初から計画されていたようにも感じられる。

PayPayはもとより、PayPayあと払いが本命だったのではないかと考えている。PayPayあと払いはPayPayカードの与信枠を利用した貸金業務で、PayPayアプリ内で残高に直接チャージ(利用時即時チャージ)する形式をとっている。国際ブランドの決済網を通していないのではないか。

あらゆるバラマキを通じてPayPay利用店舗を拡大、つまり国内に巨大決済網を構築し、これを利用するための貸金アプリこそがPayPayなのである。

余計な手数料が発生する外部決済ブランドを排除し、その決済ブランドに成り代わり、PayPayという貸金アプリは5000万人が利用している状態が出来上がっている。

PayPayは決済手数料として店舗側に1.60%または1.98%が発生するとしているが、上記を考慮すればこの決済手数料収入がメインターゲットやゴールではないということも想像できる。

それに対し、audocomoはビジョンが決定的に欠けているとしか言いようがない。それぞれのauPAYとd払いという決済アプリの存在感を維持するためにキャンペーンを打っている状態だ。自社サービスとの連携でお得になるというだけでは周回遅れなのだ。

現状で目指す方向性が同じ対抗馬があるとすれば、それはファミペイだと考える。