150円タッチで介入はあるか

USD/JPYが150円をタッチした。32年ぶりの水準だという。現在は149円台を推移している。145円のあたりから政府日銀による為替介入が警戒され始めたが、それも150円という大台が意識されていたからである。

では政府日銀は150円という理由で介入に踏み切るだろうか。その可能性は無いと考えている。

2017年5月、イタリアで開催されたG7財務相中央銀行総裁会議にて、次のような声明を発表している。

我々は、為替レートは市場において決定されること、そして為替市場における行動に関して緊密に協議することという我々の既存の為替相場のコミットメントを再確認する。

この声明によれば為替レートは市場において決定されるべきとして、そもそも介入自体を否定的に位置づけている。146円の時に行われた円買い介入は米国政府など事前に通知済みであったとされているが、それ自体が異例であると考えるべきだ。

G7の場で介入に否定的であると合意していて、どのような根拠で146円の円買い介入を行ったのだろうか。声明の続きが以下である。

我々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認する。

報道を思い出して欲しい。鈴木財務大臣や神田財務官がカメラに向かっている場面で、どのような時でも「過度な為替変動は容認できない」とコメントしている。

つまり150円などという数値目標を定めてそのレートを守るような介入はできず、あくまでも過度な為替変動に対して牽制しているだけなのである。