貨幣数量説と外生的貨幣供給説

昨日の内生的貨幣供給説と共に論じられるのが貨幣数量説だ。名目GDPは貨幣数量に流通速度*1を乗じたものである。また名目GDPは実質GDPに物価を乗じたものである。

名目GDPが大きくなると、経済成長したと言えるだろうか? 単にインフレが進んだだけならば見かけ上が大きくなっただけで、人々の経済活動は変わっていない。1個100円のパンが毎日10個売れているとして、次の日に110円で10個売れても経済活動が活発になったとは言えない。

モノの取引数量に着目して、名目GDPから物価変動の影響を除いた値こそが本当の経済活動の指標であり、これを実質GDPと言う。

つまり実質GDP(生産量)に物価を乗じたものが、貨幣数量に流通速度を乗じたものと等しいと考える。ここで、貨幣数量を増やしても生産量は変わらないし、流通速度も一定と考えると、貨幣数量説とは物価と貨幣数量の関係に帰着する。

話は一旦変わり、銀行の貸出を考える。銀行が企業に貸出を行うと、同時に預金が増えるのは前稿の内生的貨幣供給説で説明した。預金の一部は預金準備率に従って日銀に預け入れる必要があるが、この貸出と預金を繰り返すと先細りが起きる。そこで日銀が買いオペを通じて銀行に準備預金を供給すると、貸出できる当座預金が増えることを意味する。

つまり日銀が貨幣を供給すると、銀行はより多くの貸出を行えるようになり、流通する貨幣が増える。先の貨幣数量説によれば、貨幣数量が増えれば物価が上がることになる。

このように銀行の外部(日銀)が貨幣を供給すると預金や物価が上がることから、外生的貨幣供給説と呼ばれるものである。

*1:名目GDPマネーストックで除した値