お馴染みの国家安全保障戦略

国家安全保障戦略が決定された。日本国の外交・安全保障に関しての目的と手段、現状の国際情勢の分析と、策定に至った背景が網羅されている。

まず何と言っても、国連安保理常任理事国による武力行使が記述されている。もちろんロシアのことだ。戦後の国際秩序がいとも簡単に破られてしまうことを認識した上で、日本が採るべき方針を示している。

インド太平洋地域における分析では、中国をはじめに置いている。続いて北朝鮮、ロシアだ。安全保障に関わる問題解決としては外交力を第一に掲げ、防衛力、経済力、技術力、情報力を結集させる。

具体的な武力行使に対する抑止として、スタンドオフ防衛能力を活用した反撃能力が明記された。これは飛来するミサイルを防ぎ続けるのは困難であるとし、さらなる攻撃を防ぐ目的で反撃能力を保有する意義を見出した。

1956年の政府見解では既に誘導弾による敵基地攻撃は自衛の範囲に含まれるとしているが、これまで保有してこなかっただけであるとした。

さて、国家安全保障戦略の目的は日本の国益を守ることである。国益とは日本の主権と独立、国民の生命と財産を守り、また国際協調を通じて世界から尊敬され好意的に受け入れられる国家と国民であり続けることだという。

その基盤として、経済の安定した成長や法の支配が重要だとしている。これはサプライチェーン感染症への対策、自由で公正なルールに基づく貿易が想定されている。

31ページの文章だが、いつもの総理会見でお馴染みの内容かもしれない。しかしながら国民の多くがお馴染みだと思っていることこそが重要だと考える。北朝鮮の国民にとっては自由で開かれた国際協調などということを思いもつかないだろう。