JR東が金融サービスを始める理由

JR東日本旅客鉄道が、デジタル金融サービス「JRE BANK」を開始すると発表された。開始については2024年春が予定されている。

https://www.jreast.co.jp/press/2022/20221213_ho3.pdf

JR東が銀行免許を取得するわけではなく、楽天銀行を所属銀行とする銀行代理業の許可を受けて運営するとのこと。いわゆる Banking as a Service の利用で、その証拠にサービス名には「銀行」の文字がない。

一般的な金融サービスである預金やローン、デビット機能付きキャッシュカードの発行をするほか、 VIEW ALTTE の利用手数料を上限回数なしで無料とする。

ただしこれだけでは口座開設のインセンティブには不足だ。JR東のサービスと連携することでお得になるような特徴が欲しい。まだ第一報なので詳しいことは不明だ。

ここからは私の考えをまとめる。このブログには書いていないが、私は10年以上前からJR東は金融サービスに参入するべきだし、参入するだろうと言ってきた。

JR東の金融サービスとしては優等生のSuicaがある。JR東にとってSuicaは既に銀行のようなもので膨大な預り金がある。しかしSuicaはチャージ上限2万円という壁があり、もし上限を引き上げても100万円をチャージする利用者はいないだろう。前払式支払手段としての法規制もある。

またSuicaで膨大な預り金があったとしても、法規制によって運用は限られている。資金効率が悪いのだ。

そこでJR東が金融サービスで成長するには、銀行を持つ必要性があったのだ。より多くの資金を調達し、より多くの資金を運用するためには銀行というラベルが必要だったのだ。

ただし意外に思ったのは楽天銀行BaaSを利用することだ。JR東なら自前主義かと考えていた。銀行業免許はハードルが高いと判断したのだろう。

私個人としては、将来必ず設立されるであろうJR東銀行には口座を開設しようと考えていた。ところが楽天である。楽天銀行の前身はイーバンク銀行で、買収によって楽天は銀行免許を手に入れた。

イーバンク銀行を愛用していて、当時から楽天グループをやや敬遠していたのに、出資比率が上がりやがて完全買収となって看板も楽天になる直前に口座を解約した苦い思い出がある。

ともあれ、続報に期待している。