日米の金利差とは -2

USD/JPYが上昇し続けていることを日米の金利差で説明しようとするとき、消費者物価指数を用いた実質金利で比較すると日本のほうが金利が高く、実態と矛盾が生じることがわかった。何が間違っていたのか。

日本は過去30年間、賃金や物価が上がってこなかった。確たる理由は誰にもわからない。物価はデフレといっても0%近辺で安定していたが、賃金に関しては横ばいか減少を辿ってきた。

日本が横ばいか低迷を続けるなか、海外各国は一定程度の成長を遂げてきた。それに伴い日本の輸入物価も上昇してきた。企業の仕入れ(輸入物価)が上がっているなか、販売価格(消費者物価)が横ばいということは、企業の体力を削ぐ。

企業が営業を続けるにはどこかで費用を削減する必要がある。もっとも簡単で即効性のある方法は人員や賃金のカットである。

さて、以上のようなことが30年間にわたり行われてきていたとすると、実質金利を算出するためには痩せ我慢した結果の消費者物価指数を用いるのは適当ではなく、企業物価を参照するべきではないか。

政策金利を10年債利回り、インフレ率については日本が企業物価指数CGPI、米国は個人消費支出PCEを用いた。

その結果をグラフにしたものが上図だ。両国ともマイナスではあるが、米国の方が日本よりも4%から7%ほど高いことがわかる。